2004/02/15

ホテル(5)

 旅先でいつも泊まるのは、ネット接続環境の整ったビジネスホテルである。本当なら旅館の和室に泊まりたいところだが、一人ではなかなか泊めてもらえないのと、朝7時過ぎ出発、夜8時過ぎにご帰還といったスケジュールになるため、旅館の遅い朝食と早い夕食では時間が合わない事もある。

が、本来は大浴場でのんびり豊穣な湯に浸かった後に、畳の香りのする部屋で布団に包まって寝るのが理想なのである。とはいえ、洋室のホテルにはホテルの良さがあり、その最たるものが豪華なダブルベッドだ。

泊まるのはいつもシングルの部屋だけに、狭い部屋の中の大部分のスペースを大きなダブルベッドが占めている感じになるが、寝るだけに近いこちらにとっては、それほど不都合ではない。当たり前の事だが、ベッドは清掃係の手によって綺麗にシーツが被せてあるのだが、掛け布団のシーツの端をマットレスの中に挟みこんだ、あの独特のベッドメークがなんとも苦手なのだ。

掛け布団がずれないようにという意図はわかるが、あの状態で寝るのはなんだか袋に入った蓑虫にでもなったようで、どうにも気分が悪いだけでなく、妙な圧迫感を感じるてしまうのである。そういうわけで、折角苦労してメークしてくれたものだとは思いつつ、寝る時にはまずこのマットレスの中に挟みこんである、掛け布団用のシーツを総て引っ張り出してから寝る事にしている。

元々、ワタクシのような寝相の良い人間には、こうしたメークはまったく必要がないのだ。さらに苦手なのが浴衣で、当初は旅館でもない洋風のホテルに、なんで浴衣なんぞかあるのか不思議に思ったものだったが、今ではどこのホテルでも浴衣が置いてあるのが、むしろ常識のようになっている。ホテル内の自販機やランドリーといったアメニティコーナーへ行くと、見掛ける人々は寛げるのか殆どこの浴衣を律儀に着ているので、日中の観光の時と同じ普段着のままのワタクシだけが逆に浮いて見えるのか、妙な視線を浴びるようだ。

といっても、こちらは自宅で寝る時も普段の外出する時の服のまま寝るくらいで、パジャマなどは子供の時以来持った事すらないくらいだから、旅先では上着を脱いだままの普段着で寝るのが当たり前である。シーツもそうだが、どうも体を圧迫されるのが嫌な性質らしく、浴衣の紐で締め付けるのに抵抗があるのだ。

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