ブラームスは、ベートーヴェンの9つの交響曲を意識するあまり、管弦楽曲、特に交響曲の発表に関して、非常に慎重であったことで知られている。最初の交響曲は特に厳しく推敲が重ねられ、着想から完成までに21年という歳月を要した労作である(通常は、数ヶ月から数年で完成するといわれる)
この作品は、ベートーヴェンからの交響曲の系譜を正統的に受け継いだ名作として聴衆に受け入れられ、交響曲の歴史上でも最も偉大な一曲という意味で、指揮者のビューローには「ベートーヴェンの第10交響曲」と絶賛された(ビューローは、当初は反ブラームスとして知られていたが、ワーグナーとの仲違いから、この頃にはブラームスに接近していた)。もっとも、この言葉は「ベートーヴェンの影響下から全く脱しきれていない」という、皮肉の意味に解釈することもできる。
この交響曲はハ短調で書かれているが、これはベートーヴェンの交響曲第5番(運命)と同じである。また第4楽章の第1主題は、ベートーヴェンの交響曲第9番第4楽章の「歓喜の歌」を思わせるものとなっている。ブラームスも、そのことを充分に意識していたととれる発言を残している。これも「暗黒から光明へ」という、ベートーヴェン的な交響曲を意識したためである、と言われている。
ベートーヴェン的な高度な構成力から「ベートーヴェンの第10交響曲」と評され、ロマン派全盛時代に古典回帰を試みた新古典主義の代表的作品と、かつては言われた。やがて一時代を築くことになる、新古典主義運動の全盛時代を経験した現代的視点から見ると、オーケストラや和声の扱いや曲の構成などにおいて、この曲は紛れもなくロマン派の特徴を備えているということがわかる。例えば、第1楽章冒頭のティンパニの強打に支えられた、高音域のヴァイオリンによる半音階的な旋律にも、既にそのような特徴を見て取ることができる。
※Wikipedia引用
※Wikipedia引用
0 件のコメント:
コメントを投稿