2004/02/15

「T社の声は天の声」というアホの声(詐欺師の本性part4)



 元請となっているのはTD社は、エンドユーザーT社の子会社で

「この仕事は技術的(UNIXミドルウェアの導入試験)には簡単ですが、寧ろ重要なのはお客さん(T社の現場社員)との折衝能力です。ちなみに、技術的には2週間の研修でみっちりと叩き込んでいきますので、UNIXの基本知識があれば問題はありません」

(なんだ!
それじゃ、あまりスキルアップはできなそうじゃないか)

とか考えていると、更に追い討ちをかけるように

「尚、地方への出張に関しては、大阪、九州など遠方出張は当社社員で対応し、外部の方々には県内を担当していただきます」

と訊くに及び

(折角楽しみにしていた出張もなしか・・・)

と、段々と腰が引けてきた。それよりなにより、気に食わないのが面接を担当したSEの態度だ。

「これまでに、クライアントの営業トークの経験は?」

「サポートでの接触くらいですかね」

「それって、あくまで技術的なレベルの事だけですね。営業的な折衝経験はゼロという事?」

といった調子で矢継ぎ早に、何故かキツネのように吊り上がった細い目で睨みつけるような表情と、怒ったような早口で念を押す態度がなんとも不愉快に感じられた

「打っちゃけた話、お客さんは現場の作業員レベルなので、かなり気の荒いタイプが多いんですよ。中には、無理難題を吹っかけてくるような人もいますしね。しかし、相手はなんせ『世界のT』ですから、たとえどんな無理無体を言われようとも、決して口ごたえをしてはいけません。ご無理ごもっともという姿勢でないとね。だからこちらから出向して貰う人が、いわゆるキレ易いタイプの人では困ってしまうので。失礼ですが、にゃべっちさんは案外気が短そうに見えますが、どうですか?」

「いや、そういうことはないです・・・」

(オマエの態度がデカイからだろ!)

カマをかけてきた相手に見透かされたような格好ではあるが、こういったあからさまに人を試すようなやり方も、不愉快に感じずにはいられなかった。

 「いや、失礼!

それなら良いのですが・・・私が何故、敢えてこんな事まで言うかといえばですが、T社の現場というのは真面目にやっていても何やかやと難癖つけてくるような、タチの悪いのが結構いたりするものでして。事情を訊いてみれば何の事はない、それこそ単にその人物のムシの居所偶々悪かっただけだったとかいうレベルでね。ま、何かあった場合は黙って当社の方へ電話してくだされば、後の処理はこちらでやることになります。

とにかく当社としてはT社さんとのトラブルが一番怖いですから、そうなった場合はたとえ非があろうがなかろうが社長以下の我々役員クラスが、揃ってT社さんに出向いて謝りに行く。技術者の責任云々という話では、到底納まりきらないのでね。それが決まったパターンでして、寧ろ技術者レベルで勝手なことをされるのは逆にウチとして困るのですよ」

これと同じような仕事は、過去にも経験したことがあっただけに

(そういや、あの時も同じようなこと言われたけど、結局煩いだけであんまり収穫はなかったな・・・)

などと思い出しながら

(どうも・・・ こりゃ、やっぱり辞退しといた方が良さそうだな・・・)

と、低賃金から始まったゴタゴタにケリを付けるべく、内心で決断をしかけた時

「何しろ我々のような下請けにとっては《T社の声は天の声》ですからねぇ」

と、担当SEが最後にポツリ。ここに至っては、あまりのアホラシさに最早返す言葉もなかった

 面接担当者が最後に

「この後、まだ何人か面接が入ってますので、申し訳ありませんが今日1日だけ待ってもらえますか?

明日中には、必ずご返事いたします」

というセリフで締めくくられたが、その後座を外した後に元請会社のSEとの間で遣り取りがあり、その結果

「ひょっとすると、厳しい結果が出るかもしれません。先方さんは



『にゃべっちさんは、こうした折衝に向いてないかもしれない』



というような事を気にしておられたので・・・」

「そうですね・・・自分でも、そのような面倒な相手は向いてないように思います」

となんとなくすっきりしたような、だがちょっと腹立たしいような気持ちでいた。が、返事が来る期限に設定されていた翌日になっても、一向に何の音沙汰もなく

(これであの話は、終わったな・・・ま、これで良かったんだろう・・・)

と結論付けた・・・

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