2004/02/27

決着(運命の体育祭part6)


にゃべの場合
 イメージでは、そろそろゴトーの姿が後方に退いていくハズだったが、ゴトーの底力は予想を遥かに上回っていた。ゴール直前、遂に執念で勝るゴトーが、今にも死にそうに顔を歪めながらも僅かに前に出る。

(そうはいくか・・・)

懸命に喰らい付く、にゃべ。逃げるゴトー。

リハーサルの時とは別人のような、ゴトーの怒涛のラストスパートに負けじと、ゴール前での最終手段は捨て身のダイブ。青空に映える純白のテープが、僅かに目の前で揺らいだ (;・_・)ノ

 恐らくは見物からは、どっちが勝ったかまったくわからぬような、際どいほんのタッチの差ではあったが、純白のテープは非情にも伸ばした指先に僅かに届かぬ宙を舞っていた

ガ━━━━━(´Д`;)━━━━━ ン

「んなバカなバカな・・・オレが負けた・・・だと?
これは悪夢か、何かの間違いにちがいない・・・」

と、まさかの敗戦にショックを受けるこちらを尻目に

「やった~!

オレが、にゃべに勝ったぞォォォォ~!!

ヒャッホー!!!

勝った勝ったー!」

狂ったように飛び跳ねて、ゴトーの巨体が全身で歓喜のバカ踊りを踊っていた。
アーッヒャヒャヒャーΨ(゚∀゚ )Ψ(゚∀゚)Ψ( ゚∀゚)ΨアーッヒャヒャヒャーアーッヒャヒャヒャーΨ(゚∀゚ )Ψ(゚∀゚)Ψ( ゚∀゚)Ψアーッヒャヒャヒャー

その姿を呆然と見つめる、神童にゃべ (● ̄  ̄●)ボォ---

ゴトーに敗れた悔しさもあるが、それ以上に見ているこちらの方が照れ臭くなるくらいに、異常な喜びを爆発させる彼の狂気の姿に呆気に取られた。

ゴトーに祝福の声を掛けるべきか、或いは負け惜しみの皮肉でも飛ばしてやるかと考えつつも、何かに取り憑かれたような異様な姿でこちらに背を向けて、いつまでも狂ったように踊っているのを見て、最早何を言ってもまともな返事が返って来そうにないと、すっかり毒気に当てられてしまった 柱|m) ウププッ

ゴトーの場合 
 こっちは前日に見せ付けられたアイツのラストの速さがなにしろ脅威だったが、この日はあまりにもスタートが良すぎたせいか、最初から飛ばしすぎたせいだと思うが、ラストで限界が来てたな。

 ラストは

(オレの方が、絶対に余裕がある!)

と思っていたよ。それでもアイツもさすがで、最後までしぶとくへばり付いて来た。リハとは、まったく逆の展開だな。ゴール前でオレが抜いて、アイツが追いついてくる。

何度も 

(勝った) 

と確信しながら、その都度限界と思えたアイツがまた並んでくるんだ。あの辺は、やっぱ並みじゃねーってゆーか、さすがだなと。当然、向こうも 

(あんなヤローには負けられん) 

みたいな・・・もう執念だけって感じだったから、正直 

(早く諦めやがれ!) 

と思いながらも、ずっと鳥肌立ってたな。

それで、テープを切った瞬間

遂に、勝ったぞー! \(⌒▽⌒) 

って万歳したら、なんとゴール前にアイツの手が伸びてきて、ダイブしやがった。あれには、まったく冷や汗掻かされたよ。ゴール前のダイブなんて誰も思いつかんし、最後まで何をしでかすか想像もつかんようなヤツだから、まったくもって油断が出来ないもんだと心底身震いしたぜ、あれは。 

(ん?
オレが勝ったんだよな?) 

てな感じで、お蔭で拍子抜けさ。

それでも、さすがのアイツもショックの色がアリアリだったな。まさか自分が負けるとは、爪の先ほども思っていなかったに違いねーヤツだから。それで 

(ああ、オレが勝ったんだ!) 

と実感が湧いてきてね。

え?
xガイ踊りだって?

いや、あれはあまりの嬉しさで、つい体が勝手に動いてしまっただけで、別に当て付けたわけじゃない。踊ってるうちにさ・・・昔の色々なこととか思い出してね・・・なんだか一気にこみ上げてきちゃってさ。幾ら相手がにゃべとはいえ、中学生が徒競走で勝って涙目ってのも、あまりにカッコわりーじゃん

それで、にゃべのヤローがなんか言いたそうにして近づいてきたけど、無視して背を向けて踊り続けてたんだよな。こっちとしては意地でも 

(勝ったのは、当然の結果) 

というポーズを見せる必要があったし、それよかそんなとこで涙目なんか見られてみろよ。またヤツに何を言われるか、わかったもんじゃねーだろ。

次の部活で、顔を合わせた時の話さ。 

「強い者が勝つんじゃない。
勝った者が強いのだ!」 

という、ベッケンバウアーの名セリフを吐いてやったら、アイツ曰く 

「無知なヤローだな・・・あれは【強い者がいつも勝つとは限らず、たまたま勝った者が強い者ということになってしまう】という意味なんだぞ」 

とか、ほざいてやがったっけ ( ´艸`)ムププ

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