2004/02/11

やっぱ名古屋コーチンだがね〜



  名古屋名物と言えば

・味噌煮込みうどん
・味噌カツ
・きしめん
・天むす
・エビフライ
・どて煮(どて鍋)
・あんかけ(そば・うどん・スパゲッティなど)
・ういろう  

といったところが広く知られる代表的なものだが、実は「幻の名物」が「名古屋コーチン」だ。  

名古屋コーチン(正式には「名古屋種」と言うらしい)という名は、名古屋人でも必ず知っているとは限らず(?)、またその名を知っていても実際に食べた事のある人は、あまり多くはないらしい。  

その理由は「」という事からもわかる通り、ブロイラーに比べ希少価値があり、という事はそれだけ値も張ってくるため、決して「庶民の食べ物」とは言えない。  

元々、かつては名古屋の鶏と言えば名古屋コーチンだったのが、昭和30年代後半、外国から卵用種(白色レグホーン)と肉用種(ブロイラー)の各専用種が導入されたことで、飼育数が激減した。

かつて巷でグルメブームというのが起こり、その波に乗って比内鶏、薩摩シャモとともに《日本三大地鶏》と言われるこの名古屋コーチンも、食通たちの間で改めて注目を集めた時期があった。  

当時、まだ駆け出しのマスコミ記者をしていたワタクシも、夕刊紙のグルメ欄で特集を書いた事がある。  

当時は、鳥料理の店はどこもかしこも「名古屋コーチンの店」といった看板を掲げていた。


取材先の、とある店の主人に訊いた話では  

「名古屋コーチンと看板では謳っとってもよ〜、実際にはブロイラーばっかり使っとる店も結構あるみたいだでよ〜。  
オレも商売柄、偵察がてら色々と食べに行ったけど、あんなの名古屋コーチンの味とは全然違うが〜、ってのが結構多いでかんてー」  

「それって、サギじゃないんですか?」

「まあそりゃ〜、おみゃ〜さんよ〜、100%ブロイラーだったら、そらぁサギかもしれ〜へんけど、ちぃ〜っとでも本物が混ぜてありゃ〜あよ〜、まぁ一応は看板には偽りはにゃ〜て事らしいわ。  

名古屋コーチン100%の店』って書いてあるとこの方が、却って怪しいかも知れんわな〜。  
ウチみたいにホントの純系しか扱っとらんとこは、単価的にかなりキツクなるはずなんだわ〜」  

とか言っておりました。
 
 なるほど、米などでも「コシヒカリ」とは書いてあっても、実態は他の安い米と混ぜたブレンド米だったりする事もあるように、コシヒカリが幾らかは混ざっていれば、サギにはならないのと同じ理屈だろう。  

ましてや名古屋コーチンときた日には、貧乏人にはサッパリ縁がないだけに 

「なんじゃ、こりゃ? 
普通の鶏と全然、変わらんがね〜!」  

などと、ブツクサ言ってみたところで  

「おみゃ〜さん、そんなもんおんなじ鶏だで、そう変わらへんて〜」  

などと言われたら、納得してしまうかもしれないのだ。  

では、本物(純系)の名古屋コーチンを食するには、どうすればよいのか?  
まず「純系の定義」から見ていこう。   

《愛知県畜産総合センター種鶏場から供給された種鶏から、名古屋コーチン普及協会の会員が名古屋周辺地域で生産した名古屋コーチンの肉・卵だけに許された名称・登録商標です》  

という事なので、看板にこの商標の入っている店ならば信用して良い。  

純系」というのは、文字通り100%名古屋コーチンのみを使っているという事で、ここが重要なポイントである。  

《「純系名古屋コーチン」は、在来の品種の血液比率が50%以上であればよい地鶏の中では特別の存在》  

であり、その味は

《名古屋コーチンは、飼育するのに150日という長い時間がかかります。  

この間、名古屋コーチンは外を歩き回って育つので、名古屋コーチンの肉には飼育期間が50日のブロイラーにはない、弾力があるのです。  

健康的に育った鶏なので、栄養価もブロイラーとは異なります。  

名古屋コーチンの肉は、蛋白質が多く脂肪は控えめ。  

肉質は赤味を帯び、適当に香りの良い脂肪があり弾力性・充実感があり、いわゆる「こく」のある味が楽しめます》  

要するに、名古屋弁で平たくまとめると  

「名古屋コーチンは、どえりゃ〜旨いでかんがね〜。   
いっぺん食べたら、おみゃ〜さん、ま〜、そんなもん他のなんかは食べれ〜へんがね〜」  

となります。  

ちなみに名古屋コーチンは、養卵用の白色レグホンや養肉種のブロイラーとは違い、茶色の毛を持つ大きなひと回り鶏です。

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