●ピアノ原曲
Classic音楽の醍醐味は、独奏曲をオーケストラ用に編曲したり、またはその逆をした曲を聴き比べられるところだ。
この曲の場合は、先にピアノの原曲を聴いてからオーケストラ版を聴くと
「こんな風に変わるのか」と、特に楽しくなる。
リストの管弦楽曲の中では代表作に位置付けられるのが、有名な『管弦楽のためのハンガリー狂詩曲(全6曲)S.359』(「S」はハンフリー・サールによる作品番号)だが、元はこの曲もリストの最も得意とするピアノ曲だった。
ベートーヴェンの弟子であり、かつまたピアノ練習の教本でも知られるカール・ツェルニーの下で1年半の修業をするや、忽ちのうちに頭角を表したリスト。
それまで誰もが目にも耳にもした事がなかった、超絶的ともいえる神懸りかつ洗練されたスマートな演奏、そしてまた類稀な美貌も手伝ってその生の舞台では毎回、熱狂的な「信者」の間で失神者が続出したそうな。
そうして、楽壇に確固たる地位を築いていったリストは「神の手を持つピアニスト」から「音楽の帝王」へと奉られた末に、多くの若い作曲家や作曲家を目指す卵たちの集うサロンを創り、長きに渡ってその頂点に君臨しながら若き作曲家を世に出すのに、惜しみない力を注いだ事でも良く知られる。
ピアニストとして出発したリストに、作曲家への道を勧めたのは何人もいたフィアンセの一人だった。
「ピアニストは、歳を取って体の自由が利かなくなったら、何も残らない(まだ記録メディアがなかった時代)が、作曲家なら体が不自由になっても、仕事が残せるのではないですか?」
と、啓示を受けたのである。
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