「メロディの王様」の面目躍如!
全編これチェロの魅力満載という中で、最後の最もオイシイところをヴァイオリンが浚っていく・・・ここが、この曲の妙味かも。
ドヴォルザークが、この曲で自身の歌曲を引用したのには理由があった。ニューヨークでの作曲中、夫人の姉であるヨセフィーナ・カウニッツ伯爵夫人(彼が若き日に想いを寄せた人でもある)が重病であると言う知らせを聞いたドヴォルザークは、彼女が好んでいた自作の「一人にして」を引用した。
1895年の4月、ドヴォルザークは家族と共にプラハへと帰国。その1ヵ月後、彼女は亡くなった。第3楽章のコーダは、この時に第1楽章の回想と、再び歌曲の旋律が現れるものに書き換えられている。この60小節は、修正前は4小節しかなかった。研究家達によれば、習作のチェロ協奏曲を書いていた時期と、彼女への想いを募らせていた時期がほぼ一致していることから、これらは当時の彼女への想いを振り返り、その後も親しくしていた彼女への感謝が込められている、と考えられている。
ヴィハンの修正などの提案に、ドヴォルザークが気分を害した(ヴィハンに「1つも音を変えてはならない」と念押しする書簡まで書いている)のも、彼にしか分からない気持ちがこめられていたからであった。
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