2004/01/16

サッカー部監督・ガンゾー


 中学でも、当然の事ながら迷わずサッカー部に入部した。サッカー部の監督は、今年教師になったばかりの若い教諭だった。ほんの数ヶ月前に大学を卒業したばかりで、まだ22歳と若く、スポーツ刈りの童顔は田舎の田んぼか畑でも耕しているのが似合いそうな、チトごついが気のいい兄ちゃんという感じだ。

専門は数学だが、小学生から高校生までサッカークラブで活躍し、大学生になってからもクラブチームに属していたという筋金入りのサッカー男である。背は低かったが、良く鍛えられた体は、童顔には似ずガッチリとした厚みがあった。なにしろ大学を出たての新米教師だけに、数学の授業でお眼にかかる教諭の教壇姿は、なんとも板につかない頼りなさがあったが、クラスの学生の間では

「凄くやさしい先生!」

と評判で結構人気もあったらしく、苗字の「岩」を取って「ガンさん!」と呼ばれ親しまれていた。

しかしながらサッカー部の監督としては非常に厳しく、この教諭が優しいとはサッカー部員たちには信じられなかった。

「『B中』はいつも、オレの母校の『A中』に勝てんからな。オレが監督になったからには『A中』を倒して、地区大会制覇するぞー!」

というのが、常日頃からの口癖である。もっとも本人には、まだ学生気分が完全には抜けきっていないとみえ

「オ~イ、にゃべー」

などと怒鳴る時などは、あたかも友達に接するかのごとき気安さと、その童顔も手伝って、老け顔の気難し屋だった兄マッハに比べれば、遥かに御しやすい相手であった。

そんなわけで「ガンさん」が、いつの間にやら「ガンちゃん」に転じ(更に後には「ガンゾー」に)、サッカー部員の間では「ガンちゃん」という呼び名が定着していった (ノ∀`)アヒャヒャヒャヒャ

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