「もう直ぐに辞めるんだから、最後に辞める本当の理由を教えてくれないかな・・・」
「本当の理由は、この前話しましたよ。あれ以外には、何もないです・・・」
そして、N君の後任で入って来たゴロツキ上がりのような新米の絡みで、最低のトラブルに巻き込まれようとは。
「リーダーとしての責任」
として、子飼いの新入り社員B(バカ社員)の行ったデタラメの責をC社から転嫁されたのは、外部請負その人だった。C社は子飼いの社員Bの擁護のため、クライアントに対する陰険な工作に暗躍する一方、K君に続く出向早々の社員が早くもリタイアしては社の信用に関わるとばかり、事が大きくなったのに恐れをなして「持病により入院」を決め込んだ。誰の目にも、欠陥人間としか評価出来ないBを庇うのに躍起となり、形振り構わぬ穢ない手を使った。
これが、大魔神の怒りの炎に油を注いだのだ (メ▼д▼)y──┛~~
今更、バカ者の愚かしさを嘆いてみたところで始まらぬ。バカ殿のフィルターを通して、K君が警鐘を鳴らしていたリーダーX氏の無能な本性を知ってしまった無念と失望・・・なによりK君を笑い飛ばしていた、己の愚かしさを呪わずにいられないではないか。
《Flashback 2》ダメオヤジ
(あ、やっぱ来た来た・・・人がタバコを吸ってると絶対来るんだ、あのオッサンは。そのくせ、あたかも今気付いたような顔をして、やって来やがるんだからな・・・)
「Xさんも、相当なヘビースモーカーですね・・・一日に何本くらい吸うの?」
「いや、そんなに吸いませんよ。大体、一日1箱程度かな・・・」
「そんな事ないでしょう・・・ここにいる時だけでも、優に1箱くらいは吸ってるでしょ?」
「ええ。家では、一本も吸わないから・・・なんせ女房が、タバコに煩くてね・・・」
「というと、ホタル族?」
「うん・・・以前はベランダに出て吸ってたんだけど、それも面倒になったので家では吸わないことにしたんですよ、ハハハ」
と、X氏は自嘲気味に笑った。
「へー。そんなに、尻に敷かれてんだ?」
「完全に嬶天下ですよ、ウチは。なにせ、女房の実家なのでね・・・」
お得意の自嘲を刻んだ、シニカルな表情を浮かべるX氏。いつか冗談混じりに訊かされた。
「家庭では、女房の尻に敷かれて・・・」
そんないわずもがなの告白の半年も前に、見るも滑稽な職場におけるダメオヤジぶりの拡大絵巻を見せ付けられていたのだ。
その日は某課のA氏から、残業申請が出ていた。お役人が残業時間に基幹システムを使用する場合、トラブル対応その他のための待機要員として、要請に応じて残るのが我々の役目である。
その日はA氏から「18:00~21:00利用予定」の利用申請が出ており、SE待機は「要」に丸が付いていた。ところが19:30を過ぎても、当のA氏は一向にやって来る気配がない。待機担当はこちらだから、新入りのB(バカ社員)は定時で上がれば良かったが、連日と同じように古参社員のHの隣の席に陣取って駄弁っている。
(ったく・・・ウぜーから、とっとと帰りゃーいいのに・・・)
と思っていると、19時前にHがやってきて
「Aさんって、今日残業依頼出てませんでしたっけ?
どーなったんですか?」
と聞いてきた以外は、ずっと二人でくだらない世間話を交わしていた。
(どーでもいいから、早いとこ済ませてくれんかな・・・)
とジリジリと待っていると、A氏から
「連絡が遅れましたが、予定していた今日の残業は都合により延期しますので、今日の待機は解除してください」
との連絡が入った。
その日は他にやることもなかったので、片付けをすると古参社員のHに事の次第を告げて帰途についた。ところが翌日になって、トンデモナイことが起こった。
東京のT部長から電話が入り、いきなり
「オマエ・・・昨日は仕事を途中で放り出して、帰ったそうじゃねーか?
どーゆーつもりだ?」
とトンデモナイ言い掛かりをつけて来たから、驚くまいことか。これはどう考えても、悪意に満ちた何者かの「謀略」としか考えられぬ。一瞬の驚きから立ち直りT部長に真相を説明したものの、思わぬ真相に戸惑ったか、あるいは元々が確信犯的な策謀だったのか、案に相違して非常に歯切れの悪い受け応えに終始していた。
「A氏からは今日の残業はなくなったから、帰ってくださいという連絡が来たから帰ったのだ」
と告げると
「いや・・・その後から、やっぱりやるといって来たらしいんだ」
と言い張るから
「実際に使用したかどうかは、ホストマシンのログを見ればわかることなので、確認してみますが・・・」
と言うと、途端に
「結局、来たけどやらなかったらしい・・・その時に、なんでオマエがいないのかと怒っていたらしいよ」
と、見え透いたデタラメを並べ立てた。
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