一見(一聴?)したところは地味な曲の多いシューマンだけに、表面ばかりを追いがちな若いころは、ひたすら暗いイメージしかなく敬遠気味だったが、年とともにその隠し味の「滋味」がわかるようになってくると、どの曲も魅力的に聞えるのである。
チェロというのは地味な音色の楽器であり、オーケストラの中でも低音を支える脇役だけに、シューマンが好んでいたというのは頷ける。もっともこの協奏曲に関しては、派手さはないがチェロの活躍はめざましいものがある。メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲などと同様に3楽章続けて演奏され、約25分と比較的短い曲ながら独奏チェロは高度な技巧を要求される。
チェロは「人間の声に最も近い楽器」と言われるが、この曲を聴いていると人が話しているようである。
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