学区トップの『A高』受験には、9科目合計の内申ボーダー「40」(最低ライン39)以上に加え、学年30番以内、偏差値60以上(上位15%目安)という3つの難関がクリアしなければならない目安と言われた。
教師たちは生徒の進路振り分けに大童だったが、内申が「42」、席次「2」番(?)、偏差値は約「67」(県内トップ校で65程度)だったにゃべは、親友のムラカミとともに、めでたく『A高』推薦枠48人の中にエントリーされた(言うまでもなく、当時は成績優秀者が自動的に学校から推薦される仕組みである)
「ま、オマエら2人にとっては『A高』推薦程度は、当然だったろうが・・・ ともかく、正式決定おめでとう・・・と言っとくか」
と担任のガンゾーから、祝福された2人。
「推薦って、なんかえーことあるん?」
「はぁ? 推薦といえば、入試免除だろーが。知らんかったかのかー、オマエら・・・これ以上いいことって、ねーだろーがよ」
「じゃあ、入学式までなんもせんでもいいと?」
「バカ言え! 面接があるがー」
「えっ、面接? じゃあ、まだ正式に合格と決まったわけねーって事?」
「まあ、厳密にいえばそうだが・・・実際のところ、推薦入学者の面接ってのは、形式だけだからなー。よっぽど態度が悪いとかなけりゃ、落ちることはまずないハズだとは思うが・・・まあムラカミはともかくとして、にゃべはひょっとして面接で落とされる可能性もあるかも・・」
と、ガンゾーのきついジョークが (/||| ̄▽)/ゲッ!!!
「例年からすると推薦枠は4人と思ったが、5人も推薦されるとはな。そのうち我がクラスから2名とは、実に名誉な事だ」
約10年前には、自らも希望に燃え『A高』に入ったものの、あっさり落ちこぼれて名古屋の二流大学(M大)出に終わった担任ガンゾーは、すっかり舞い上がり気味だ。
「あの『A高』に、推薦とはなー。オレなんかでは考えられんのに、本人はケロッとしとるんだからなー。やっぱ、オマエらは大物だわ・・・」
とガンゾーを始め皆から羨望の視線を浴び、お気に入りの小夜子からも
「本当に・・・アンタって、どうしてそんなに賢いの?
勉強なんて、まったくしてないでしょ?」
と熱っぽい視線を浴びせられ、すっかりノボセ気味であった (*^▽^*) ニョホホ
数日後の『A高』推薦面接当日の模様だ。
学校のお達しにより、揃って天下の『A高』に赴いた『B中』の面々は、にゃべ、ムラカミ、ヒムロ、香、梓の5人。先頭ににゃべとムラカミ、その後ろに香と梓が並び、世にも面白くもなさそうな顔の天才ヒムロが、最後尾からチンタラと付いて来た。
にゃべ&ムラカミコンビの後ろを歩く香と梓だが、専ら梓の陽気な声ばかりが耳に入り、香はいつものように時折ボソボソと相槌を打つ聞き役に回っていた。
そんなこんなで『A高』に辿り着き、用意された待機用の教室に入って待っていると、続々詰め掛ける学校区人口ン万人の中から集ってきた精鋭、総勢ざっと50名弱。むろん大半は知らない顔ばかりだが、2年前の1年間だけ同じ『B中』で過ごした『C中』からは真紀、ゴトーの懐かしい顔も見られ、早速旧交を温めた。
「オー!
にゃべー、久しぶりじゃねーか!」
と真っ先に声をかけてきたゴトーは、サッカー部の地区大会などでちょくちょく顔を合わせていた。小学生時代からの因縁浅からぬ仲だが、やはりこういうところで逢うと、素直に懐かしさが込み上げてくる。
が、もっと懐かしいのは丸々2年間、顔を合わせるチャンスのないままに (今日は、間違いなく・・・)と、心密かに期待していた真紀であったことは、言うまでもない。
「あっ、にゃべー!
久しぶりーっ!」
と例によって細い目を一層糸のように細めた、笑顔を一杯に浮かべた懐かしい表情は随分と大人っぽくなったが、紛れもない真紀のものであった。
「オー、オーミヤかー。なんか、懐かしいなー」
「ホントーよねー!」
『B中』や『C中』の連中を始め、他の学生の手前あまり派手に歓ぶことは出来なかったが、勘の鋭いヒムロは早くも2人の只ならぬ仲(?)を察したようだ。遥か遠くから、大きな声で
「ようよう、オマエらー。早速、いい雰囲気じゃねーか」
とおどけた口調で冷やかしたため、周囲にいた学生らから爆笑と思わぬ注視を集めてしまった。と、これに便乗してか
「あっ、オマエらー! いつから、そういう仲に・・・?」
と悪乗りしてきたのは誰あろう、にゃべには種々の恨みがある(?)、『C中』のゴトーである。
「止めときなって。どうして、そういう下品な言い方しか出来んのか?
少しは場所柄とか弁えたら、どうなのさ」
気の強い梓から、ガツーンとお見舞いされ
「いや、緊張した顔が並んどったもんで、ちょっと雰囲気をほぐそうとしただけやで・・・」
とかなんとか、苦笑で誤魔化すのがやっとのヒムロであった(ザマアミロ Ψ(`∀´)Ψケケケ
と間髪入れず続いて訊いた事のない声で
「あーあ、情けな。ウチにも、便乗するアホがいたとは・・・」
と強烈な一声が飛び、皆の爆笑を誘った。
驚いて振り返って見ると、そこには・・・先程までと真紀と一緒にいた女子であった。
(どこにでも、こういう気の強い女学生が、いるもんだ・・・ ヽ(´―`)ノやれやれ)
と何気なく視線をやったところ、2年前の『B中』時代はまったく知らなかったが、これが驚いた事に千春に非常に良く似た相当な美形なのだ。
(うっ・・・これはかなりの美形!
オーミヤどころか、もろこやオカド、さらにタカシマのどれよりも上かも)
と、すっかり目を奪われてしまった ( ;¬_)ジーーーッ
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