3学期期末テストは、年度末試験であると同時に中学生活最後となるテストでもあったが、試験嫌いのにゃべにとっては何の感慨があるわけもなく、ただただ 「早よ終われ!」という気持ちだけだった。
とはいえ、既に『A高』当確ラインと目されているような上位陣にとっても、ここで万一順位を大きく下げるような事があると、今までの実績が総てパーになってしまいかねないという、厳しい現実がポッカリと口を空けて待っているだけに、決して最後まで気は抜けなかった。
ヒムロのトップはお約束だったが、同じ転校生の梓が僅差でヒムロに次ぐ2位に迫ったという情報は、結構な衝撃だった。中学最後のテストで転校生にトップと2位を浚われるとは、なんとも皮肉な結果である。ヒムロはともかくとして、梓の2位は果たして偶々出来すぎた結果だったのか? それとも最早、ヒムロやにゃべにも匹敵しうるだけの、本物の実力者と判断すべきなのか?
総てのテストが終わった今となっては、最早判断する材料がなかったが・・・
この2人の転校生の後塵を拝する形とはいえ、親友ムラカミは3位と意地を見せた一方、中学でも最後まで一度も勉強しなかったにゃべは、最後のテストで一気にツケが廻ったか、この年ワーストタイの4位に沈んだ。
数日後、卒業式の段取りについての生徒会打ち合わせで顔を合わせた香と、たまたま2人になるタイミングがあり
「この前のテストは最悪じゃー・・・オマエは、どうだった?」
と、探りを入れると
「私もダメだったよ・・・」
とポツリ。
「オレなんて、4番だぜ・・恥だ」
「えーっ、嘘でしょー?」
と彼女にしては珍しく、目を見開いて驚きの表情を見せた。
「そんなに驚くなよ。オマエも最後の順位くらいは、教えてくれてもいいだろ」
「教えろって・・・一緒じゃん・・・」
と最後の最後で、初めて香本人の口から順位を訊く事が出来たのが、奇しくも同じ得点だったとは。
(やっぱりオレとアイツは、強い糸で結ばれていたりして・・・)
ワーストの現実はすっかりと忘れ、ちょっぴり甘酸っぱい気持ちを勝手に味わうのであった (*`▽´*) ウヒョヒョヒョ
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