2004/07/26

名古屋ショック!!(高校受験シリーズpart6)

 公立に先立つ私立高の受験を控え、名古屋にある『東海高校』を下見に行くことになった、にゃべら3人。そして『愛知高校』を受験するムラカミと、クラスの違うナオキも約束通り同行する事になった。

私立愛知高校は、A市の公立A高校受験者のスベリ止めにとして、学校が指定した男子校である。ナオキのクラスで『A高』受験者は上位5人(1クラスは40人)、男子はトップのナオキ1人だけで、2位以下の残る4人の女子は『愛知淑徳高校』(女子校)が指定されていた。このクラスで『愛知高』を受験できるのは、ナオキただ1人(にゃべの兄マッハは7年前、この『愛知高校』に陸上部員として推薦を受けたが断り、一般入試で合格した)

にゃべと同じクラスのムラカミも、クラスではただ1人の『愛知』受験者となった。そして名門中の名門である『東海高校』受験者は、学年全体でにゃべ1人である(もっとも、この時点ではヒムロの受験先は不明だった)

 さて「A市」から私鉄電車に乗り、急行でおよそ30分で名古屋駅に到着。ここまでは誰もが何度か足を運んだことはあるものの、問題の『東海高校』と『愛知高校』は、どちらも名古屋駅から離れた立地に位置し、名古屋駅からのバスの乗り継ぎを書いた紙を片手に、3人でマゴマゴしていた。

ようやく目指すバスターミナルまでは辿り着いたものの、あの路線が複雑に入り組んでいる名古屋の基幹バスに乗ったことのない3人には、この迷路のように複雑な路線図をどう見たらいいのかがまるでわからず、途方に暮れかけていた (-_-) ウーム

その時、向こうから学生服に身を包んだ、どこかの中学生とオボシキ一団(10人ほど)がゾロゾロとやってくるや、ニヤニヤとガラの悪そうな薄ら笑いを浮かべながら、無遠慮そうにジロジロと眺めてきたではないか。いずれも長髪でどことなく垢抜けた連中で、みるからに「都会の中学生」という雰囲気である。

「オイ、あいつらに訊いてみようか・・・?
やつら、名古屋の中学生みたいだから」

ムラカミが、肘をつつきながら小声で訊いてきた。

「そうだな・・・こんなん見ても、全然わかんねーしな・・・」

といいながらも相手の10人ほどという人数と、都会の学生らしき独特の雰囲気に些か戸惑いつつつ

(さて、どう切り出したものか・・・)

などと躊躇っていると、向こうの方でも「ヘンな3人組がいるぞ」と気にしていた様子だったが、やがてその中のリーダーらしき坊やが、ヘラヘラと笑いながら声をかけて来た。

 「なぁ! オマエらも学校の下見?
もしかして『愛知』かな?」

「あ、オマエらもか・・・?」(にゃべ)

「そりゃ、ちょうどいいや。だったら、一緒に行くかい?」

「そりゃ、助かるよ。実は、どうやって行きゃあいいのかわからなくて、困ってたんだ」(ムラカミ)

これでどうにか、目的地に無事にたどり着けそうだという安堵から、3人とも俄かに口が軽くなった。

「オマエら、どっから来たのよー?」

「オレたちは『B中』からだけど・・・」(ナオキ)

「『B中』? なにそれ・・・そんなの、どこにあんの?」

「A市だよ」(ナオキ)

「A市? んなトコ、あったっけ?」

彼は、10人ほどの仲間を振り返った。

「オ~イ、A市って知ってるかー?」

皆一様にニヤニヤと薄笑いを浮かべて、首を振るばかりである。

「それって、愛知県か?」

(
ノ∀`)アヒャヒャヒャヒャ

A市といえば人口10万を超える中都市といったところだが、名古屋の人間から見れば視野にも入らぬ田舎であるとは漠然と予測はしていた。が、よもや同じ県内で存在そのものすら認識されていなかったとは、かなりのショックだ。そこへなお追い討ちを掛けるかのように、少年たちの非情なる質問攻勢が続いた。

この場合、彼らに爪の先ほどの悪意がないのはわかっていたが、それだけにかえって救いがないといえた。

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