この作品の作曲についてサン=サーンスは
「この曲には私の全てを注ぎ込んだ」
と述べている。
作曲家自身、管弦楽作品としては最後の試みになることを自覚していたかと思われ、作曲者の「自叙伝」に近いものになっている。すなわち、そこには彼自身の名人芸的なピアノの楽句や、華麗な管弦楽書法、教会のパイプオルガンの響きが盛り込まれている。
この交響曲の最も顕著で独創的な特徴は、各所に織り込まれた、ピアノ(2手もしくは4手)およびオルガン、すなわち鍵盤楽器の巧妙な用法である。そのほか、この交響曲は通常の4楽章構造にしたがっているように見えるが、通常の意味での第1と第2、第3と第4の楽章はそれぞれ結合されており(それぞれを「楽章」と呼ばず、「第1部・第2部」としている)、これら2つの部分が実質的にひとつの楽章として機能するため、2つの楽章に圧縮されていると言うことができる。
サン=サーンスはここで、伝統的なスタイルも踏まえつつも新たな形の交響曲を意図していたのである。
第1番ヴァイオリン・ソナタで、同じ楽章形式が使われている。この交響曲はまた、循環主題技法の創造的な用法を示している。サン=サーンスは、フランツ・リストと友人であり、初演直後に亡くなったリストにこの交響曲を献呈しているが、素材が楽曲全体を通じて進化してゆくというリストの主題展開理論が、この交響曲には適用されている。
出典Wikipedia
交響曲の中にオルガンを入れること自体が、当時としては誰もが考えもしなかった画期的な試みと言えたが、この曲の魅力は単にそればかりではない。ピアノをも巧みに採り入れたオルガンとピアノの掛け合い、そして壮麗なオルガンと重厚なオーケストラの響きの対比を鮮明に表現した三菅編成など、非常に充実した構成となっている。
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