さて、その他の50人弱の学生は、当然のことながら初めて見る顔ばかりだが、面接を前に笑ってしまうくらい緊張に引き攣った顔やら、生真面目な顔やら悠然と済ました顔やら様々であった。
とはいえ、さすがに各地から選抜されてきた精鋭揃いとあって、いつも見慣れた『B中』の連中よりは一癖も二癖もありげな顔が多かったが、順番を呼ばれるまでの退屈紛れに密かに観察して回った中では、やたらとポーズの多い目立ちたがり屋らしい色男が1人。
その男とは別に、思わず(う~む)と、腹の中で唸った長身のオトコマエが1人。また、派手な茶髪で「アリャ、面接でNGじゃねーか?」と密かにムラカミと見立てた、お水系のような派手なイデタチの女学生が1人。そして驚いた事に、明らかに香や小夜子よりもかなり上を行くような颯爽とした美形が2~3人いて、思わず視線を釘付けにした。
そんな多士済々、波乱含みでスタートした面接も無事大過なく終わった。ムラカミと2人で帰路に付く道を歩いていると、真紀ともう一人の先ほどの気の強そうな女学生のシルエットが目に入り、知らぬ間に大声で呼びかけていた。
「オーイ、オーミヤー!」
「あっ、にゃべ!
ねー、どうだった、面接?」
「どうって・・・別に、どうってこともなかったんじゃね~か」
「アハハハ。その言い方、相変わらずねー。また同じクラスになれたら、楽しいね・・・」
と満面に笑みを浮かべる真紀の顔が、猛烈に懐かしさを呼ぶ。
「そうだよな・・・思い出すね」
2年ぶりの再会。お互いに積もる話は沢山あったし、このままCafeにでも入って語り明かしたいところだったが、何しろ横にはそれぞれうるさ型(特に、真紀の方に)が控えているだけに、残念ながらあまり込み入った話ができるシュチュエーションではなかった。
「じゃあ・・・また、ここの学校で・・・?」
「ああ・・・そうだな」
2年越しとなる待望の再会ながら、心ならずも簡単な挨拶程度で、この場はお別れとなった。
この間、我が親友ムラカミはさすがに彼らしく、何気ない風を装いながら離れたところで校庭や校舎などを見学していた。さすがに、どこか所在なげな我が畏友ムラカミとは対照的に、真紀の相棒の方は相当に仲の良い親友なのか、真紀の傍にベッタリくっついたまま、好奇心丸出しの表情と猫のような怪しい瞳で2人の様子をジっと観察しているのには、かなりプレッシャーを感じた。
その白く美しい顔はやはり千春に良く似ていたが、更に上を行くほど魅力的だった ( ;¬_)ジーーーッ
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