最初にこの曲を聴いた時、当然の事ながら「オルガン入りの交響曲」という珍しいところに、非常なる興味を持ちつつ勇んでオーディオに向かった。ところが延々と流れる曲を聴いていても、一向にオルガンが現われて来る気配がなく
(ありゃりゃ?
オルガンなんて、一向に出てこんぞ・・・)
と、何度も首を傾げた。
※実際には第1楽章から登場しているが、ここまではあくまで「脇役」的な扱いである。
そうこうするうちにも、上品かつ叙情的な雰囲気の横溢する第1楽章とは打って変わり、第2楽章に入るや一転して印象的な華やかな曲調に変わった。しかしながら依然として期待するオルガンは、一向に出てこないのである。
(確かに、これだけでも充分にいい曲ではあるが・・・しかしオルガンが出て来ないのは詐欺だ・・・)
そんな疑問を深めつつ、いよいよ最後の第2楽章・第2部に差し掛かると、ようやくにしてオルガンが華麗に登場。まさに「真打ち登場!」いう感じで、いきなり後頭部をガーンと殴られたような、大きな衝撃に見舞われた。
このように、オルガンが派手に活躍するのは35分ほどの曲の中、この最後の数分程度だ。ピアノの神様リストから「最高のオルガニスト」と絶賛されたサン=サーンスが、その持てる円熟した技術とオルガンの魅力を最大限に引き出した、単に煌びやかなだけでなく高度に洗練された技巧が、惜しげもなく注入されているのである。
癒しの音楽のような第1楽章と、転調の魅力溢れる第2楽章の第一部、そして第二部は全編通してクライマックスへ向け、息つく暇もない。特に、重厚かつ格調高いクライマックスは出色の出来栄えであり、個人的には最もお気に入りのエンディングの一つに数え上げられる。
第2楽章・第二部
巨大な編成による壮大な響きこそが、この作品の一番の売りだ。三管編成のオケに、オルガンと4手のピアノが加わり、フィナーレの部分ではこれらが一斉に鳴り響く。
交響曲にオルガンを追加したのは、必ずしもサン=サーンスが最初ではない。
しかし、過去の作品はオルガンを通奏低音のように扱うものであって、この作品のように「独奏楽器」として華々しく活躍して場を盛り上げるものではなかった。それだけに、このフィナーレでの盛り上がりは今まで耳にしたことがないほどの「驚きとヨロコビ」を聴衆に齎したと思われる。
出典 http://www.yung.jp/yungdb/op.php?id=967
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